球根の精
ようこそ砂漠cafeへ
静天凪です
その日はいつになくお客さんの多い日でした。
色んなお客がいました。人間、精霊、幽霊、鳥・・・
その中に無精ひげの太った男性が酒を飲んでいたのですが、横の席に一風変わった爺さんが座ったのです。
私「いらっしゃい」
太った客「おや、爺さんずいぶんと寒そうだな。体が震えてるじゃないか。
大丈夫?」
爺さん「寒いなんてもんじゃないよ」
私「熱でもあるんじゃない?今日はお客さんが多いし、暖房もきいてるから寒くないはずだけど」
爺さん「熱などないさ。人間じゃあるまいし」
太った客「人間じゃないだって?そういや髭や指先から根っこみたいなのが生えてるね」
爺さん「あんた、わしに見覚えがないか?」
太った客「知らないな」
爺さん「あんたんとこの子供たちはもう就職したんだろ?」
太った客「何故それを?」
爺さん「ヒヤシンスの球根覚えてるか?」
太った客「ああ。子供らが小さい頃水栽培で育てた」
爺さん「白い花が咲いたろう?子供たち喜んでいたよな」
太った客「ああ。だが何故?」
爺さん「あんたの家の裏庭の片隅に、あんた子供たちと一緒に花が枯れたあとの球根を植えただろ?」
太った客「そういや、そんなことあったな」
爺さん「またいつか咲いてくれますようにって」
太った客「まさか爺さん、その球根かい?」
爺さん「下の女の子が念入りにわしの周りに油かすを撒いてくれたっけ」
太った客「すまない。忘れたりして。だがもう何年にもなるが」
爺さん「あそこは寒い。本当に長い間かかったが。明日見に来てくれ。咲いたんだよ」
私「素晴らしい!爺さん、一杯おごらせてくれ。なにがいい?」
爺さん「珈琲をくれ。ここの珈琲は暖まる」
太った客「爺さん、実は明日子供たちが久しぶりに帰ってくるんだ」
爺さん「知ってるよ。何とか間に合った」
私「ホザンナ!」
太った客「爺さんに祝福を!」
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